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 2019年も半年が経とうとしていますが、今回が今年最初の更新、そして元号が「令和」に変わって最初の更新となります。
 ここ最近は色々と思う所も有って玩具レビュー記事を書かないでいた為、このブログも更新せずにいたのですが、株主総会や株主優待品のレビューに関しては、例年通りに更新して行きたいと思います。

 本日、かつしかシンフォニーヒルズで行われた、タカラトミーの「第68回定時株主総会」に行ってきました!
 昨年度のタカラトミーは、過去最高益とされた前年を上回る利益を出しており、そのお陰もあって、今回の配当金には創業95周年の記念配当が上乗せされる等、躍進を続けています。昨年は株価の下落が続く中での株主総会開催となりましたが、今年はその下落が止まっただけでなく、好調な業績発表を受けて反転、上昇を続けるようになっています。しかしながら、今年は招集通知の事業報告の中に「トランスフォーマー」に関する記述が一切無く、また前述の通り好調な業績も相俟って、個人的には、事前から気になる所は、あまり有りませんでした。

関連記事:「㈱タカラトミー 第67回定時株主総会」レポート(2018年6月28日更新)


 会場は、午前9時30分に開場しました。
 株主総会の看板は、昨年は新シリーズがスタートした「ゾイドワイルド」でしたが、今年は60周年を迎えた「プラレール」が描かれていました。
 昨年は、会場内の各所に「会場内の撮影はご遠慮ください。」という案内が有りました(事実上OKとなってはいましたが)が、今年はそれが無く、展示物の撮影が可能になっていました。




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 展示物は、入口側から順に「株主優待の紹介(株主優待限定セットと株主優待割引制度)」「プラレール(「新幹線変形ロボ シンカリオン」を含む)」「リカちゃん」「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」「爆丸」、そして毎年展示が有る「エコトイ活動」「共遊玩具」等の展示スペースの、計6つでした。
 昨年展示が無かったリカちゃんは2年ぶりに展示されましたが、昨年最も展示スペースを取っていたゾイドワイルドの展示は有りませんでした。


 総会は、予定通り午前10時に開始されました。

1.社長挨拶
 小島一洋(こじま・かずひろ)社長による挨拶。ここで、定款第15条の定めにより、小島社長が本総会の議長を務める事が発表されました。

2.定足数の確認
 「定足数」とは、株主総会を行うに当たって最低限必要とされる出席者の数です。
 本総会は定足数を上回った為、問題無く開催されました。

3.監査報告
 松木監査役からの監査に関する報告。タカラトミーやその取締役の、法令や定款(会社の憲法)への違反の有無や、不正の有無について報告されます。
 タカラトミーは会社・取締役共に、法令や定款に違反してはおらず、また不正も無いとの事でした。また上程される議案や書類についても、同様に不正なものや不当はもの無いとの事でした。

4.事業報告
 タカラトミーの平成30年4月1日~平成31年3月31日の事業報告が、スクリーンに映像を流す形で行われました。
 報告の内容は、「第67回定時株主総会招集ご通知」の38ページの「ハイライト」や、67ページの「連結貸借対照表」、そして44ページ~46ページの「対処すべき課題」等の内容をそのまま読んで行く形で進められていきましたが、読み上げられたのは特に重要な部分のみで、それ以外については参照するページを伝えるだけにとどめられていました。

 ・第68回定時株主総会招集ご通知(タカラトミー公式サイト、pdfファイル)

 ハイライトの中では、国内での定番商品と新規商品ラインなどの販売が好調に推移すると共に、「ベイブレードバースト」等の海外向け輸出が増加した一方で、海外ではキャラクター商品の販売が減少したとの事で、売上高は前年とほぼ同じ(厳密には0.3%減)となりました。しかしながら、売上高が前期並に推移した事にプロダクトミックスの改善が加わった事で、営業利益は前期比9.2%増となったとの事です。

5.議案の上程
 議案は、「第67回定時株主総会招集ご通知」の3ページ~37ページを参照して下さい。以下はその簡単な解説です。
 第1号議案 … 所謂「配当金の金額の決定」。
           期末配当は1株当たり7円の普通配当に、創業95周年の特別配当を加えて14円とされており、昨年12月に
           実施された中間配当(1株当たり7円)と合わせて、1株当たり24円とされています。普通配当の総額は前期と
           同じですが、今期は特別配当の分だけ増配されています。
 第2号議案 … 買収防衛策の方針が本総会の終結時に期限を迎える為、その方針の継続。
 第3号議案 … 本総会終了の時をもって、取締役7名全員が任期満了となる為、新しい取締役の選任。
           新任の取締役候補は1名(社外取締役候補)です。富山会長、小島社長、鴻巣副社長以外の4名は社外
           取締役候補です。
 第4号議案 … 今年3月の事業年度末時点での取締役と監査役に役員賞与(所謂ボーナス)を支給する件。
 第5号議案 … タカラトミーの執行役員や従業員、タカラトミーの子会社の取締役や従業員等が賞与等の一環として
           タカラトミーの株式の交付を受ける際、その額や具体的な内容の決定をを取締役会に委任する事。
 この後、株主と取締役の質疑応答となりました。
 質問は、「株主総会と関係無いものや株主の利益を害するものは不可」「1人当たり1問」とされていました。
■共遊玩具について。「キラッとプリ☆チャン」の「ジュエルパクト」が、聴覚障害の方が使えなくて悔しい思いをしていた。なりきりのおもちゃにもバリアフリーが必要なのではないか。共遊玩具の範囲を広げる考えは有るのか。
→製品を共遊玩具に仕立てる試みは30年にわたって続けている。プリチャンを共遊玩具に出来なかった事については申し訳ない。貴重なご意見として頂く。(沢田執行役員)
→共遊玩具は推進して行きたい。毎年100シリーズ以上出しているが、今後も努力して行きたい。(小島社長)

■プリパラとプリチャンを見てるだけでなく、ライブにも行っている。先日ライブの映像化が発表されたが、予約特典の「Friendship Tour」のブルーレイが、販売する法人によって異なる内容になっており、全種揃える為には4つも買わなければならない。これはどうかと思う。
→今後の展開についてはどうあるべきか、関係する所と考えながらやって行く。(鴻巣副社長)

■トランスフォーマーの品質管理について。昨年の株主総会で品質管理に関する意見が有ったが、あれから1年経ち、どう変わったのか教えて欲しい。改善されたのであれば、今後発売されるハイターゲットの商品も安心して買える。
→トランスフォーマーの高価格帯商品は、少しでも不良が有ると酷いお叱りを受ける。出荷検査のメンバーを増やした。数字(問い合わせ件数等)については公表していないのでお伝え出来ないが、レビューについても注意して見ている。(阿部執行役員)
→作っている製品やその個数は毎年異なっているので、一概に言う事が出来ない。改善には強い意志をもってやっているし、今後もそれを継続して行く。(小島社長)

■トミカくじについて。20、21、22の内容が、実車ではなく架空の車になっている。(これまでの内容は実車だったのに)急に変えた意図は何なのか。
→リクエストやニーズに応えるべく変えた。売れ行きは変わっていない。(沢田執行役員)

■タカラトミー公式ツイッターについて。今までの(企業公式ツイッターの)イメージを覆すような、ノリの良い兄ちゃんのような感じだが、トランスフォーマーを「見る抗うつ剤」とツイートしたりする等、危なっかしい所も有り、暴走してしまうのではと懸念してる。
→懸念が出た事自体は真摯に受け止める。ツイッターによる広報は重要で、これからも創意工夫していく。懸念されている事については事前にチェックする対策をしているが、それは今後も継続して行く。(小島社長)

■プリパラと、その後のプリチャンも遊んでいる。筐体の通信が途切れてデータ保存が出来なくなるトラブルが発生する事が有るが、対応は出来ないのか。
→以前は自社サーバーの中でデータ管理出来ていなかったが、今は管理出来るようになっており、データの復旧も出来るようになっている。今後も関係各所と連携してやって行く。(鴻巣副社長)

■TBSの土曜朝の番組について。来月から報道番組がスタートする為、今月で「ゾイドワイルド」と「シンカリオン」が放送終了する。3月にはベイブレードのアニメのTV放送が終了した。このままではボーイズトイの売上が落ちてしまうのではないかと心配している。今後の予定について教えて欲しい。
→ゾイドワイルドとシンカリオンの放送終了は、TBSさんの製作の方針。今後は配信も含めて検討している。ベイブレードのTV放送は終わったが、「爆丸」の放送がスタートしており、好評を得ている。今後ボーイズ(トイの売上)は落とさないよう努める。(沢田執行役員)

■トミーテックの鉄道コレクションが、模型屋に行っても売っていない。今後生産する予定は有るのか。また、マクドナルドのハッピーセットのおまけのDVDは、孫が見る度に欲しくなってるので、今後も続けて欲しい。
→(鉄道コレクションについて)製造にはある程度のロットが必要。現状では生産の予定は無い。すみません。(沓澤執行役員)
→(ハッピーセットのDVDについて)貴重なご意見として頂く。(小島社長)

■海外で流行っている「サブスクリプション」について。玩具も今後そうなるのではないかと思っている。これについてはどう考えているのか。また、タカラトミー公式ツイッターは楽しく見てるので、今後も萎縮せずにやって欲しい。
→玩具のサブスクリプションは、個人や販売店の単位でやってる所も有るようだが、会社(タカラトミー)としては、メンテナンスや安全の関係でやれていない。検討はしているが、今は詳細を公表できない。(鴻巣副社長)

■現在の社会は高齢者が多くなっている。対処すべき課題の中で「ハイターゲットおよび高齢者向けビジネスの拡大」を掲げているが、具体的な内容を教えて欲しい。
→会場の外で展示しているCSRの中には、高齢者向け商品も含まれている。共遊玩具はエイジレス(年齢に関係なく遊べる)な商品と考えている。2018年のハイターゲットは2017年よりも伸びており、女児向けも伸びている。お客様に愛して頂ける商品を出す事でこれに応えられるのではないかと考えている。(小島社長)

■リカちゃんとブライスについて。リカちゃんの「スタイリッシュドールコレクション」を買ったが、買った4個が全部不良品だった。ブライスも最近不良品が多く、「交換するともっと酷いものが送られてくる」という情報も有る。ハイターゲット向け商品をどのように考えているのか。
→外見等の検査基準を設けて検査してはいるが、全品検査しているわけではない。現在生産拠点の移転を進めており、品質が安定していない。今後検査の強化や品質改善を行っていく。(鴻巣副社長)

■事業報告の資料について。最近のタカラトミーの躍進は喜ばしく、これには公式ツイッターの中の人の力も有ると思うが、コンテンツ毎の(売上等の)推移のグラフが無いので、その資料を作って欲しい。
→決算短信の中で「ボーイズ」等のカテゴリに分けて公表している。コンテンツ毎の情報は企業秘密。開示範囲は工夫している。貴重なご意見として頂く。(小島社長)

■デジタル戦略について。現在5G、AR、VR、eスポーツ等色々有るが、今後の戦略について教えて欲しい。
→昨年、デジタル企画本部を立ち上げて、現在アプリ開発を進めている。内容は現時点で公表出来ないが、年内にはリリースする。今後も開発を進めて行く。(中野執行役員)

■2号議案(買収防衛策の方針継続)について。企業が買収防衛策を講じる事については、海外の機関投資家から厳しい意見が有る。それにもかかわらず、どうして継続に踏み切ったのか。
→当社の企業理念の「夢の実現」の中に有る「こどもたちの夢の実現」をミッションとしているのが、一番大きな理由。(買収してきた)相手が、これに理解の有る人なのかを見極める為の時間やプロセスが必要だから。(小島社長)

■トランスフォーマーの「マスターオプティマスプライム」について。抽選に落選して買えなかったが、翌日ヤフオクやメルカリを見たら、まだ届いていないはずなのに、30件も出品されていた。なるべく欲しい人に届くようにして欲しい。
→貴重なご意見として頂く。(本多執行役員)

6.議案採決
 質疑応答が終了すると、事前に出されていた議決権行使書と会場内の拍手で、議案の採決が行われました。
 上程されていた議案は全て、承認可決されました。

7.閉会宣言&新任取締役・監査役挨拶
 小島社長による閉会宣言をもって、本総会は終了しました。
 その後、本総会で承認された新任の佐藤文俊社外取締役の挨拶が有りました。
 終了時間は11時27分で、約1時間27分の総会でした。




 昨年のタカラトミーの株主総会は、前年のメイ社長(当時)の突然の退任とそれに伴う株価の下落で、質疑応答でもそれに関する
ものが多かったですが、今年は株価の上昇が続いている事や業績が好調な事、そして増配にもなった事もあってか、株価や配当金、事業内容に関する追及は有りませんでした。来年の配当は更に増える(年間配当1株当たり30円)という予想も既に公表されており、現在の株価上昇はこの発表も理由の一つに含まれている為、好調が続けば、株価、配当金、業績に関する追及は今後もあまり無いのではないかと思います。
 しかしながら、今年は「小島社長が質問・意見して欲しい事」と、「出席した株主の多くが質問・意見したい事」の間に、大きな隔たりが有るように感じました。小島社長は「株主総会の決議事項や業績に関する質問・意見」を求めていたと思われるのに対し、今回の総会での株主からの質問・意見の多くはは「特定の商品・サービスに関するもの」でした。タカラトミーに投資している個人株主の多くはトミカやリカちゃんをはじめとした特定のブランドのファンと言われており、それもあってこれらの質問や意見も毎年多い為、今後もこの隔たりが無くなるのは難しいのではないかと思います。
 質疑応答の中では言及が有りませんでしたが、今回の事業報告の中で、タカラトミーは2021年3月期(再来年3月末決算)の予想を「営業利益140億円」から「160億円」に上方修正していた事が報告されました。これは今年3月期の営業利益が140億円を超えた事を受けての事と思われますが、個人的には、まずは中間地点となる来年3月期に営業利益150億円が達成出来るのかどうか、注目したいと思います。