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 復讐のに、何を見る

 前の記事では先行上映会の舞台挨拶について書きましたが、今回は映画本編の感想について書きます。
 上の写真は先行上映会の終了後に会場出口で配布されていたチラシで、「KINGSOFT(キングソフト)」という会社がBLOOD-Cとコラボした「無料セキュリティソフトインストールキャンペーン」というキャンペーンの宣伝のチラシです。

 ・劇場版BLOOD-C the Last Dark×KINGSOFT 無料セキュリティソフトインストールキャンペーン(KINGSOFT)

インストールすると、もれなくオリジナルの壁紙がもらえるだけでなく、抽選で、劇中で小夜が着ているセーラー服のレプリカやサイン入り台本がプレゼントされるそうです。
 TVシリーズでは色々と「守れなかった」小夜ですが、このセキュリティソフトはきっとしっかりパソコンを守ってくれるハズです(笑)。

関連記事:「世界最速!『BLOOD-C The Last Dark』プレミア上映会」に行ってきました!(2012年5月22日更新)

※以下は作品のネタバレを含みます。


 TVシリーズとは舞台がガラリと変わるので、始めに作品の舞台の解説から。
 舞台はTVシリーズから約半年後の東京。この作品では、東京では「青少年保護条例」という条例が施行されており、「20歳未満の子供は親の同伴無しでの外出が禁止」されています。この裏側には、「七原文人」が日本支部会長を務め、政界への太いパイプも持つ巨大企業複合体「セブンスヘブン」があり、東京は実質上文人の支配下に置かれています。これに対するレジスタンス的組織が、ネットコミュニティ「サーラット(SIRRUT)」で、彼らは「殯蔵人(もがり・くろと)」の資金援助の下、抑圧の黒幕である文人の悪事を暴く為の活動を行っています。

 作品の序盤と見どころについて、簡単に紹介。
 作品は東京メトロ丸の内線から始まります。この電車に乗車した一人の男が、突然<古きもの>となり、乗客を喰らいはじめ、車内は騒然となります。しかし、その<古きもの>が、車内にいた小夜を喰らおうと狙いを定めると、小夜は攻撃を始め、<古きもの>は追い詰められます。追い詰められた<古きもの>は、偶然その地下鉄に乗車していた柊真奈(ひいらぎ・まな)を捕らえて逃走し、小夜はそれを追いかけます。<古きもの>が真奈を喰らおうとしたその瞬間、追い付いた小夜によって<古きもの>は倒されますが、そこを警備員に見つかってしまい、小夜と真奈は青少年保護条例に基づいて追われる事になりますが、小夜と真奈はサーラットのメンバーである「松尾伊織」が運転する車に乗り、警備員とのカーチェイスの末、警備員から逃げおおせます。その後、小夜の事を情報で知っていた蔵人によって、小夜は蔵人の屋敷に招かれ、「七原文人を殺す」という共通の目的により、小夜はサーラットに身を寄せる事になり、小夜はサーラットからの情報を頼りにして文人への復讐を目論みます。
 この作品の個人的な見どころとしては、後述するアクションシーンはもとより、メインとされている「小夜の復讐の行方」、そして全編を通じて大活躍する新キャラクター・柊真奈の成長が挙がります。隠れた見どころとしては、小夜と真奈のサービスシーンが規制無しで見られる点や、真奈が小夜を押し倒すシーン(!)が挙がります(笑)。


 ここからは感想とか。
 映像面ではカーチェイスのシーンや、終盤で登場した巨大な<古きもの>等にCGが使用されており、またカメラアングルのチョイスや大スクリーンでの上映も相俟って、戦闘シーンやカーチェイスのシーンは非常に臨場感溢れるものになっていました。作画についても乱れらしきものは特に見受けられず、映像作品としてはかなり完成度の高い作品になっていたのではないかと思います。

 この作品ではTVシリーズで散りばめられた伏線の回収も、物語全編を通して行われました。
 TVシリーズでの「メインキャスト」の一人だった「鞘総逸樹(ともふさ・いつき)」が文人の「実験」に参加した真の目的に始まり、「犬」の正体、文人と「朱食免(しゅじきめん)」の関係や、文人がTVシリーズで断片的に見せていた能力の秘密、そして物語の最大の根源である「文人の最終目的」等が明らかになっています。
 TVシリーズを観た人ならこの部分は十分楽しめるのではないかと思いますが、元々この作品は「TVシリーズを観ていない人でも楽しめる作品」とアナウンスされていただけに、その部分に対してはは個人的に疑問が残ります。

 この作品の原作は著名な漫画化集団・CLAMPも手がけている事もあって、他のCLAMP作品とのコラボも行われています。
 既に最新の予告編で、「xxxHOLiC」シリーズのメインキャラクターである「四月一日君尋(わたぬき・きみひろ)」が登場していますが、本作では「対価」と引き換えに、小夜に新しい刀を渡しています。xxxHOLiCの四月一日と同一人物なのかどうかは不明ですが、作中で描かれている内容から、同一人物とみて間違い無いようです。
 また、作中でサーラットのメンバーが使用しているカーナビやパソコンのディスプレイには、「魔法騎士レイアース」等の作品でお馴染みの「モコナ」が頻繁に登場しています。

 作品の総合的な感想。
 映像面のクオリティは非常に高いのですが、ストーリーはTVシリーズや他のCLAMP作品を見ている事を前提に作られている部分が結構有るので、それを知っているかどうかで感想が分かれるのではないかと思います。
 舞台挨拶での塩谷監督のコメントによれば、この作品のテーマは「愛と絆」で、奈々さんや野島健児さんもイベントやコメント動画等で「愛がテーマになっている」と話していました。本作はそのコメントのとおりに様々なキャラ同士の愛と絆が描かれており、また文人の目的の根源も、いずれ訪れるであろう「小夜の死」の運命を変える為なら自分自身を犠牲にする事も厭わない「小夜への愛」によるものでした。劇中で四月一日が自身と小夜の関係について「縁(えにし)」という言葉を用いていますが、これもまた、「絆」の中に含まれるのではないかと思います。
 テーマが「愛と絆」で一貫している一方で、本作品では社会風刺もされています。作品では近年ニュース等で取り上げられている「東京都青少年健全育成条例」を、「青少年保護条例」という形で風刺しており、これが本作品のテーマの一つである「抑圧と開放」の「抑圧」になっています。都条例に対する風刺をしている一方で、本作品は文化庁から補助金を受けていたりするのですが…(笑)。
 個人的に一番心配していた残虐シーン等のグロテスクな描写ですが、<古きもの>が人を喰らうシーンこそあるものの、TVシリーズの後半から終盤にあったようなエグさは無く、悪い意味でのインパクトは残らなかったので、その意味では良かったと思います。


 感想は以上です。
 この作品は公開前に「今世紀最大の衝撃作」と銘打ってはいたものの、残念ながら個人的にはそこまでの衝撃は有りませんでした。しかしながら、TVシリーズから続く「BLOOD-C」という作品の完結編としては大変面白いものになっていたと思いますので、TVシリーズを観た方や内容を知っている方は、一度観てみる事をオススメします。
 また、奈々さんが演じている小夜は、物語展開の関係上TVシリーズ最終話直前までのカッコカワイイキャラから大きく変わっています。インタビュー等で奈々さんが度々話していた「野獣化」するシーンは、奈々さんが言う程無かったと思うのですが、奈々さんは本作で、これまでに無いダークでクールでカッコイイヒロインを演じていますので、奈々さんファンなら間違い無く一見の価値が有る作品だと思います。